2017年7月31日月曜日

酒は少量でも脳に影響か!


(2017/07/31)

● 英・オックスフォード大学研究、酒は少量でも脳に影響か!


 最近の英国・オックスフォード大の研究によると、「お酒は適量でも長期間継続的に飲酒していた人は、全く飲まない人やほぼ飲まない人に比べて、脳に異常が出てくることがわかった」と言う研究内容が発表された。

 これまでの常識として「少量の飲酒であれば身体に良い」とされてきたアルコールも、その量に係わらず、「海馬」という記憶を司る脳の大切な部位が、お酒を飲むとその飲酒量に相関して萎縮。すなわち、お酒を飲めば飲むほど記憶力が低下するリスクが高くなると言うのです。

 心筋梗塞や脳梗塞においても、従来から「全く飲まない人に比べて、適量の飲酒者は、それらの病気になりにくい」と言われていたが、今回、少量の飲酒でも心筋梗塞や脳梗塞になりやすくなるということが判明したと言うのである。また、飲酒の量に相関してクモ膜下出血や脳出血のリスクも高まると言う。


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● アルコールは発がん物質!

 世界保健機関(WHO)の外部組織である国際がん研究機関(IARC)は、アルコールをグループ1(確実な)発がん物質とみなしている。このグループには、タバコやアスベスト、ヒ素、マスタードガスなども含まれている。
 明らかな発がん作用があるとされるこれらの物質とアルコールは、発がん作用のリスクについて同じグループとみなされているのです。

 飲酒とがんとの関係も正の相関があり、全く飲まない人と比べて少量でもがんのリスクが高まると言われている。特に体質的・遺伝的にがんになりやすい人は要注意。
 乳がん、咽頭がん、口腔がん、食道がん、肝がん、膵がん、などが指摘されており、特に乳がんの家系のある女性は、飲酒は控えた方が良いと言われる。


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● 飲酒による脳への影響

 飲酒と脳の健康に関しても以前は、少量の酒は脳には良いとされる研究などもあり、認知症についてもそのようにいわれていた。そこで出てきたのが今回の研究結果です。
 イギリスで行われたこの研究報告は、イギリス国内の公務員(役所)の労働者550人を対象に、過去30年間の健康に関する検査データを調査したもの。

 そして、その30年間経った結果が公表され、アルコールを全く飲まない人、または1週間にアルコール60グラム(アルコール5%で350mlの缶ビールなら約3.4缶相当)未満の飲酒者に比べて、1週間にアルコール70グラム(350mlの缶ビールなら約4缶相当)から210グラム(350mlの缶ビールなら約12缶相当)の飲酒者では、海馬の萎縮するリスクが約3倍まで増えていたという。
 海馬は、記憶や空間認識・空間学習能力に関わる器官といわれ、アルツハイマー型認知症や、心的外傷後ストレス障害(PTSD)・うつ病の患者にもその萎縮が確認される。

 また、適量の飲酒でも、脳の白質の構造が破綻している事例が確認されいる。そして実際にも、1週間にアルコール140グラム(350mlの缶ビールなら約8缶相当)以上の飲酒者では、語彙力や高次脳機能が低下が確認されている言う。


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● アルコールと認知症の関連性

 臨床的にも、「アルコール依存症」は認知症の強い危険因子と言われ、若年性認知症の約10%はアルコール関連の脳障害が原因と言われています。また、施設に入所中の一般の認知症患者の約20%が、アルコール関連脳障害を持っているものと推定されている。

 認知症で多い原因は、アルツハイマー病と脳血管障害ですが、その多くのケースでアルコールはこれら病態に追加的に寄与しているものと考えられている。そしてかなりの大量長期飲酒者は、それ単独でも認知症のリスクが高いと言うことになる。


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● 脳を萎縮させない飲み方

 脳を萎縮させたくない場合、1週間に、350mlのビールなら3缶まで、グラスワインなら2杯まで、ウイスキーなら150mlまで、焼酎なら240mlまで、日本酒なら400mlまでに制限した方が良いことになります。