2021年9月23日木曜日

季節の風景(夏)


・ 「開成・紫陽花の里散歩 2019」


You Tube : https://youtu.be/hSibtZsuKiM

 開成町は、神奈川県の西部、酒匂川(さかわがわ)中流域の西岸に広がる田園地帯。
町内全域がほぼ平坦地で、耕作地整備により、田畑を区切るように農業用水路を水が流れる「水の郷」でもあります。 毎年6月には「あじさいまつり」が開催され、多くの人が訪れる 。

 手拭かはけり浴場の紫陽花               (尾崎放哉)
 抱起す手に紫陽花のこほれけり             (正岡子規)
 紫陽花や 帷子時(かたびらとき)の 薄浅黄(うすあさぎ)  (芭蕉)

 撮影日:2019.06.13
 撮影地:神奈川県開成町
 音 楽:「甘茶の音楽工房」さんの「春風」


・ 「初夏・日向散歩 2017」


You Tube : https://youtu.be/0-SFZCx0KS8

田植えも終わり春からの農作業も一休み、夏至も近い梅雨の晴れ間のいつもの散歩道。

 撮影日:2017.06.17
 撮影地:神奈川県伊勢原市日向/洗水耕地・実蒔原・日向
 音 楽:「甘茶の音楽工房」さんの「アイリッシュの風」


・ 「半夏・七沢散歩 2017」


You Tube : https://youtu.be/SEQHbvEiOTM

暦の雑節のひとつに「半夏生」(はんげしょう)がある。
夏至から数えて11日目、現行の暦では7月2日頃にあたり、昔はこの日までに田植えを終える目安にしていたそうで、農家にとっても節目となる大事な日でした。この日は天から毒気が降ると言われ、飲み水としていた井戸に蓋をして毒気を防いだり、この日に採った野菜は食べてはいけない等とされたりした。 「食中毒」などと言った言葉など無かった昔である。

また、この頃になるとドクダミ科の野草であるハンゲショウ、別名・方白草(カタシログサ)の花が咲き始め、その葉の一部が半分白くなる頃とされ、「半化粧」とも言われている。
毎年、この時期になると白く化粧する「方白草」、ひっそりとした谷戸(やと)の森で、いったい誰を待っているのだろうか。

半夏/半夏生(はんげしょう)・夏の季語

 風鈴の 夜陰に鳴りて 半夏かな     (飯田蛇笏)
 一服の 旅発ちの茶や 半夏生      (佐藤愛子)

 撮影日:2017.07.04
 撮影地:神奈川県厚木市七沢
 音 楽:エンヤ・アルバム「The Celts」より「To Go Beyond」


・ 「森の貴婦人・山百合散歩 2021」


You Tube : https://youtu.be/Yk2KR-UD6wk

7月初旬、梅雨末期の山野に山百合が咲き始める。ユリの中でも最大級の花径から、ユリの王様とも女王とも呼ばれる。
日本原産のユリと言われ、神奈川県の県花にも指定されている。

 下闇に ただ山百合の 白さかな       (正岡子規)
 偽りの なき香を放ち 山の百合       (飯田龍太)
 山百合や このふるみちを 人わすれ     (水原秋櫻子) 

 撮影日:2021.07.10
 撮影地:神奈川県厚木市
 音 楽:エン ヤ・アルバム「The Celts」より「Portrait」


・ 「夏祭・三増散歩 2017」


You Tube : https://youtu.be/wtg9bnRsuU0

 愛川町・三増(みませ)は、古くより相模(神奈川)と甲斐(山梨)を結ぶ甲州道の宿場として知られ、三増峠を背にして戦国時代には甲斐・武田軍と小田原・北条軍が激突した「三増合戦」の舞台ともなった場所。
 江戸時代になり、相州大山への参詣者が多く利用したことから「大山道」とも呼ばれるようになった。

 毎年、この宿場の諏訪神社の摂社である八坂神社の例祭で、獅子舞が奉納される。巻獅子(父)・玉獅子(母)・剣獅子(子)の「一人立ち・三頭獅子舞」で、約300年の伝統ある舞が保存会の皆さんにより受け継がれている。「神奈川県無形文化財」にも指定され、県内の伝承獅子舞のなかでも、比較的優雅な舞が特長と言われている。

 撮影日:2017.07.16
 撮影地:神奈川県愛川町三増/八坂神社(諏訪神社摂社)
 音 楽:「甘茶の音楽工房」さんの「遠い記憶」


・ 「虫送り・日向薬師散歩 2019」


You Tube : https://youtu.be/aHOFFpjzHyc

 虫送り(むしおくり)は虫追い(むしおい)などとも呼ばれ、春から夏にかけて(おもに初夏)、農村において、田畑の農作物につく害虫を駆除し、その年の豊作を祈願する年中行事のひとつで、夕闇が迫るなか、鉦や太鼓を叩きながら行列して村境へと追い出す。

 焚かれた松明の炎は、駆除された悪霊や病害虫を供養する送り火でもある。かつては全国各地に数多く見られたが、戦後、農薬が普及するに連れて害虫の脅威が低減したことに加え、過疎化、少子高齢化など、農業の衰退とともに、次第に行われなくなっていった。

 ここ日向地区でもかつては伝承されてきたが、何時しか途絶えてしまっていたところ、近年再び行われるようになった。

 なお、虫送/虫送り(むしおくり)は、夏の季語(晩夏の季語)で、他に虫流し(むしながし)・実盛送り(さねもりおくり)・田虫送り(たむしおくり)・稲虫送/稲虫送り(いなむしおくり)・虫追/虫追い(むしおい)・虫供養(むしくよう)などの呼び名があるようです。

 狩野川に  沿てのぼるや 虫送        (高浜虚子)
 火や鉦や 遠里小野(とほさとをの)の 虫送  (正岡子規)
 
 撮影日:2019.07.28
 撮影地:神奈川県伊勢原市日向薬師
 音 楽:「甘茶の音楽工房」さんの「五月の風」


・ 「蝉しぐれ・日向薬師散歩 2018」


You Tube : https://youtu.be/0w1-UXJxuu4

 蝉時雨(せみしぐれ)という言葉がある。時雨とは、主に秋から冬にかけ、一時的に降ったり止んだりする「通り雨」を言い、突然に頭上から降り注ぐように聞こえてくる蝉の声を、この時雨にたとえたもので、日本人らしい感性ともいえる。

 長い期間を暗い地中で過ごし、地上に出て僅か2~3週間の儚い命、うるさいほどの大合唱も、生涯一度だけの夏を精一杯生きた証(あかし)か。

なお、蝉時雨といえば夏の季語であるが、蜩(ひぐらし)は、秋の季語になる。

 閑(しずか)さや いわにしみ入る 蝉の声   (松尾芭蕉)
 いづかたへ 父は逝きしか 蝉時雨       (星野昌彦)

 撮影日:2018.08.23
 撮影地:神奈川県伊勢原市日向/日向薬師
 音 楽:パッヘルベルのカノン



・ 「盛夏・大山山麓散歩 2021」


You Tube : https://youtu.be/WyHt0Us9QM8

梅雨が明けると本格的な夏(盛夏)となり、しばらくは酷暑の日々が続くが、その暑さも月遅れのお盆(8月15日)を過ぎると、朝夕に秋の気配が感じられるようになる。
 この頃咲き始めるのが、ヒガンバナ科の「キツネノカミソリ」である。花の見頃は1週間ほどと短かいが、秋の彼岸の頃に咲き始める「彼岸花」の先駆けとして、夏の終りが近いことを感じさせてくれる花でもある。

 磚多き古き都の盛夏かな        (阿波野青畝)
 荒海の上に真夏のおぼろ月       (飯田龍太)
 雨祈る火のかぐろくて盛夏かな     (飯田蛇笏)
 SFの迷路真夏の夜の夢         (山口青邨)

 撮影日:2021.08.12
 撮影地:神奈川県伊勢原市/日向地区
 音 楽:エリック・サティ作曲 「ジムノペディ 第1番」