2016年6月5日日曜日

二十四節気「芒種 (ぼうしゅ)」

本日6月5日は、二十四節気の一つ「芒種(ぼうしゅ)」。
 芒種 (ぼうしゅ) とは、稲や麦の穂先のように芒(のぎ:とげのようなもの)のある穀物の種(たね)のことを言い、暦ではこれらの種まきをする頃という意味でもある。

 ただ、稲作の現在の種まきは、実際にはこの時期よりも早く、4月上~中旬頃に種籾(たねもみ)を「育苗箱」と呼ばれる苗床に撒き、温度管理されたビニールハウスの中で丈夫な苗として育てられる。
 そして5月中旬から6月上旬になると、農家は田植えに追われる頃となる。

 春先の田おこしから肥料の散布、田んぼへの水引き、代かきなどの田植えに向けた準備を終えたところで、田んぼに機械で稲の苗が植えられてゆく。それから約4ヶ月、9月になると黄金色の稲穂が秋風にゆれる風景が見られる様になる。

「 実るほど 頭(こうべ)を垂(た)れる 稲穂かな 」

「米」という字を分解すると「八十八」になることから、「籾(もみ)から育て、お米として食べられる様にするまでに八十八(たくさんの意味でもある)の手間がかかる」とされ、米を作る農家の人々の苦労を例えたもので、お米を食べる時は一粒たりとも無駄にしてはいけないとの戒めとした。

 また、八十八才の長寿を祝い、「米寿(べいじゅ)の祝い」などと言う。




西日本から関東地方では、例年梅雨に入る頃で、田植えの終わったあぜ道にはアヤメやアジサイが咲き、蛙の合唱が聞こえて来る。

 また、この日から6月21日頃の夏至までの期間を芒種とも言い、「七十二候」では、梅の実が青から黄色に変わり、蟷螂(カマキリ)や蛍(ホタル)が現れ始める頃ともされている。

ちなみに七十二候には、
螳螂生(とうろう しょうず)
: 螳螂(カマキリ)が生まれ出る
腐草為蛍(ふそう ほたると なる)
: 腐った草が蒸れ蛍になる
梅子黄(うめのみ き なり)
: 梅の実が黄ばんで熟す

などの項目が見られる。




「紫陽花(あじさい)の 花青がちや 百日紅(サルスベリ)」  (尾崎放哉)

「夜の目には 見えぬ紫陽花 螢来る」             ( 金子兜太)