2016年4月18日月曜日

ハナミズキの咲く頃、(劣化する日本人)


ハナミズキ
桜の季節が終わる頃、それと入れ替わるようにして、ハナミズキの花が咲き始めた。

 ハナミズキ(花水木)は、アメリカ原産のミズキ科の落葉高木で、ヤマボウシの仲間でもあることから、日本では別名を「アメリカヤマボウシ」とも呼ばれ、アメリカの春を代表する花木の一つでもある。
 今では、公園樹や街路樹、庭木などでもよく見かけるが、この花、意外にも日本の桜と無縁ではない。

 日本におけるハナミズキの植栽は、比較的新しく、今から百年ほど前の明治45年(1912)に、当時の旧東京府・東京市長であった尾崎行雄が、日米友好の証としてアメリカ合衆国ワシントンD.C.へサクラ(ソメイヨシノ)を贈った際、その返礼として大正4年(1915)にハナミズキの木を贈られたのが始まりと言われている。

 今では多くの園芸品種がつくられ、桜の季節が終わる4月中旬から咲き始め、5月中旬までは楽しむことが出来る。
 
 日本人が桜の花を愛するように、アメリカではハナミズキは最も愛される花の一つですが、日本では今ひとつの感もある。 ただ、満開のハナミズキも良いが、春雨に濡れたハナミズキは、可憐でどこか物悲しい。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「ハナミズキ」という歌がある。 歌手の一青窈(ひととよう)自身が、2001年の米国・NY「9.11同時多発テロ」の悲劇を受けて作詞したと言われ、テロによる犠牲者の鎮魂と平和への願いが込められている。


(一)
 空を押し上げて 手を伸ばす君 五月のこと
 どうか来てほしい 水際まで来てほしい
 つぼみをあげよう 庭のハナミズキ

 薄紅色の可愛い君のね
 果てない夢がちゃんと 終わりますように
 君と好きな人が 百年続きますように

(二)
 夏は暑過ぎて 僕から気持ちは 重すぎて
 一緒にわたるには きっと船が沈んじゃう
 どうぞゆきなさい お先にゆきなさい

 僕の我慢がいつか実を結び
 果てない波がちゃんと 止まりますように
 君とすきな人が 百年続きますように

(三)
 ひらり蝶々を 追いかけて 白い帆を揚げて
 母の日になれば ミズキの葉、贈って下さい
 待たなくてもいいよ 知らなくてもいいよ

 薄紅色の可愛い君のね
 果てない夢がちゃんと 終わりますように
 君と好きな人が 百年続きますように




 4月14日夜、また日本を文字通り揺り動かすほどの「大地震」が熊本地方を襲った。

 熊本の被災地では、ガソリンスタンドで、早朝から給油のためにたくさんの人が並んでいた列に、割り込んで、注意されても無視して我先にとガソリンを入れていった報道関係者(大阪・関西テレビの中継車)。

 さらには、「やっと今日の1食目。食料なかなか手に入りにくいです」などと、被災地(避難所など)で手に入れたかのような弁当の画像をツイッターにアップしていたMBS・毎日放送(大阪)の被災地取材アナウンサー(男性)。

関西テレビは、批判が広まったためか、後になりこれらの行為の事実関係を認め、謝罪しているが、報道に携わる以前に、日本の一般的社会人としての最低限のモラルの欠如が問われる。

 毎日放送は、「あくまで被災者に配布されている弁当を避難所などでもらってきたものではない」と断言したが、アナウンサー本人は「被災者への配慮に欠けたものであった」として謝罪した。

 避難場所の狭い駐車場は、大挙して押し寄せる報道陣の車両に占領され、引き返す避難者。

 被災遭難現場の上空を飛び回り、騒音と爆風を撒き散らす報道ヘリ。


「阪神・淡路大震災」から約20年、その後も「新潟県中越沖地震」、「岩手・宮城内陸地震」、「東日本大震災」と大きな被害にさらされてきた日本列島。 この間も、毎年のように何処かで大きくゆれ動いている地震大国。

  「東日本大震災」では、日本の地震観測史上最大のマグニチュード 8.4、により千年に一度といわれる巨大津波を誘発、死者・行方不明者約1万9000人の戦後最悪の震災となった。

 さらに史上初めて運転中の3基もの原発が、メルトダウン事故を起こし、大量の放射性物質が放出、10万人以上の住民が故郷を逃れ、40~50年は掛かるとされる高濃度の放射線で汚染された原発の廃炉は、5年経った今もその解決の糸口さえ掴めないで、時間と大量の作業者を消耗し続けている。


・ 東日本大震災から5年経っても今だ復興の兆しが見えない東北被災地

・ 「日本死ね!」と叫ぶ日本人、

・ 公職選挙法で逮捕された元・航空幕僚長(航空自衛隊トップ)

・ 少子高齢化に膨れ上がる社会保障費、老人漂流社会(老後破産)、子供の貧困問題・・・・

・ 1000兆円を超える累積赤字の国家財政でも、巨額なオリンピック開催でうかれる国民

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(劣化する日本人)


 大災害時においても、暴動や略奪が起きることも無く、粛々と列に並ぶ日本人、ワールドカップ・サッカーの試合後、応援スタンドのごみを清掃をして帰るサポーター。
 このような日本人の行動の根底には、いったい何があるのだろうか。

 作家・司馬遼太郎は、晩年の著書・『この国のかたち』の中で「日本人とは何か」を問い続けていた。
 日本人の根底に流れる倫理観は、遥か鎌倉時代の坂東武士に生まれた「名こそ惜しけれ」の精神、すなわち「名を汚すような恥ずかしいことをするな」という倫理観が、その後の日本人を形作ったのではないかとも指摘している。 それはこの小さな島国の日本人独特の倫理観と言ってもいいであろう。

 すなわち「私利私欲は恥」とする「恥の文化」が、勤勉で真面目というその後の日本人像を形作ったとも言える。 子供心にも「お天道様(おてんとさま)が見ているよ」という呪文(じゅもん)のような言葉が、幼い道徳心を育んでいったように。


 しかし、終戦から70年、戦後教育が現在の日本人を生み、公(おおやけ)の意識が薄れ、個人主義が歪められた形の利己主義が日本社会を崩壊していく。 

晩年、司馬遼太郎は、日本国民が無感動体質になることを危惧していたという。

 そして、「もし日本という国がなくてもヨーロッパ史は成立し、アメリカ合衆国史も成立する。 しかしながら今後、日本のありようによっては、世界に日本という国が存在してよかったと思う時代が来るかもしれない。」とも言っている。

 そうなるために、これからの日本人はどうあるべきなのだろうか。

 世界は、長い東西冷戦時代が終わり、平和が訪れるかと思ったが、21世紀に入り、民族対立、宗教対立、無差別テロ、難民問題、経済格差、経済不安、覇権主義国家の軍備拡張と核兵器の拡散、70億人とも言われる膨張する人口・・・・・。 

 世界はますます混迷を深め、解決の糸口さえ見えないでいる。