2016年2月15日月曜日

脳の萎縮予防、中年期の運動が決め手に?


(2016/02/15)

● 中年期の運動能力が、後年の脳の萎縮に関係か!


 米ボストン大学などの研究チームは、中年期の運動能力が、その後の脳の萎縮には関係があるという研究結果を、米国・神経学会誌のオンライン版に発表した。

 脳は、年を取ると萎縮して認知機能を低下させ、認知症につながることもあると言われているが、研究チームによれば、運動によって脳の萎縮や認知機能の低下を食い止められる可能性があるという。

 研究によると、認知症や心疾患のない平均年齢40歳の約1500人にランニングマシンで運動してもらうテストを実施し、20年後に脳の状態を磁気共鳴断層撮影(MRI)装置で調べた結果、20年後、ランニングマシンの運動成績が良くなかった人は、脳が萎縮していることが分かったと言う。

 運動能力の判定は、ランニングマシンで心拍数が一定の数値に達するまで走れる時間を測定し たもので、運動成績が低かった人のうち、心疾患の症状がなく、高血圧の薬も飲んでいない人は、脳の老化が1年分加速していた。
 一方、心疾患の症状があったり薬を飲んだりしている人は、2年分の脳の老化が進んでいたという。

 運動能力と高齢者の認知機能との関連は別の研究でも報告されていて、2015年5月には、中年期の運動能力が高いほど、5年後の脳の萎縮も少ないという研究結果が発表されている。

 今回の研究結果について、ボストン大学医学部のニコール・スパルタノ氏は、特に心疾患を持つ人にとっては脳の加齢を防ぐために運動が大切であるとして、脳の健康のためには中年期の運動が、「血流を増して、より多くの酸素が脳に運ばれて、年を取ってからの認知力の低下を防げるかもしれない」と説明している。