2015年7月2日木曜日

谷戸の半夏雨


 本日は、「半夏生(はんげしょう)」。 

方白草 2015.07.02
半夏(はんげ)とは、烏柄杓(からすびしゃく)というサトイモ科の多年草で、その塊茎を乾燥させたものが「半夏湯(はんげとう)」などの漢方薬(痰切・鎮吐薬など)に用いられる生薬の名前で、この植物が生えてくる頃という意味。
 
 また、一説にはドクダミ科のハンゲショウ、別名・方白草(カタシログサ)の花が咲き始め、その葉が半分白くなる頃とされ、「半化粧」とも言われている。

 暦の上では、七十二候の一つで、夏至の末候「烏柄杓(からすびしゃく)が生える」頃とされ、雑節の中にも数えられている。

 七十二候(しちじゅうにこう)とは、もともと古代中国で考えられたもので、二十四節気をさらに3つに分け、季節による気象や動植物などの変化を短文で表したものである。
 江戸時代になり、日本の気候風土に合うように改訂された侯もあるが、「半夏生」は、日本と中国の両方の暦にそのまま残されている。

 また、雑節は、季節の移り変わりの目安となる気象現象や民俗・風習行事などを記した日本独自の暦で、特に日本の農耕文化と密接な関係が見られ、五節句や二十四節気以外の「節分(せつぶん)」、「八十八夜(はちじゅうはちや)」、「入梅(にゅうばい)」、「半夏生(はんげしょう)」、「二百十日(にひゃくとうか)」、「二百二十日(にひゃくはつか)」、「土用(どよう)」、「彼岸(ひがん)」、「社日(しゃにち)」、などがあるが、地域によって異なる場合もある。

 この他にも、初午、三元(上元・中元・下元)、盂蘭盆(お盆)、大祓(夏越の祓・年越の祓)などを雑節に加えることもある。




方白草 2015.07.02
このように、半夏生(はんげしょう)は、七十二候と雑節の両方に記されている事からも、古くから重要な日であったことが想像できる。

 梅雨は半夏生に上がるとも、雷鳴で上がるとも言われていたが、陽暦(現行暦)では7月2日頃にあたり、本州ではまだまだ梅雨も盛りとなる頃、全国各地にさまざまな謂れや諺が伝わっている。

 この日に降る雨を「半夏雨(はんげあめ)」といい、「半夏雨」が降る年は大雨が続くとも言い伝えられているが、早朝から降り続いていた雨も午後には止み、梅雨空のもと散歩に出かけた。

 厚木市七沢にある「神奈川県立自然環境保全センター」の観察の森がある谷戸池の一角に、半夏生(方白草)が群生している。

 雨上がりの平日と言うこともあり、ほかに訪れる人もなく谷戸の森はひっそりとしていた。

 毎年、この時期になると白く化粧する「方白草」、いったい誰を待っているのだろうか。





「 ひそやかに誰待つ谷戸の半夏雨 」       (娑来)