2013年10月7日月曜日

秋が旬の魚・貝


● 鯖(さば)

青い魚と書いて「鯖(さば)」、その名の通り「青魚の王様」と言われ、栄養価が高く、いよいよこれから冬にかけてが旬となってきます。

 秋の深まりとともに脂がのってくると、体もふっくらとしてきて、古くからその美しさが知られていて、江戸時代には将軍家への献上品にもなったほどである。

 「サバの生き腐れ」という諺(ことわざ)もあるように、鮮度が落ちやすく、外見は新鮮なようでも腐り始めていることがあり、昔は水揚げ地の近くでしか食べられなかそうで、普通は産地以外での刺身などの生で食べるのは難しい魚だといわれていました。

 最近は、流通網の発達により、早朝に市場に水揚げされたものが、その日の夕方には店頭に並ぶといったところもあるようですが、選ぶ際にはイワシなど他の魚にも共通していて、目が澄んでいて濁りが無く、皮に張があり、お腹のあたりがふっくらとして張りのあるものが良いそうです。

 また、「鯖(さば)を読む」という言葉は、サバは傷みやすく数も多いことから早く売り切るために目分量で数をごまかしたことが由来という説があるそうです。


 鯖は、海流に乗り沿岸部を回遊しているものと、「根つき」といってある一定の海域に棲みついているものがあり、一年中店頭に並ぶことが多いい庶民的な魚ですが、冬を迎え海水温が冷たくなるこの時期からが脂ものって美味しくなる頃です。

 九州・大分と四国・愛媛の間に位置する「豊後水道」の海域では、この「根つき」の魚も多く、特にこの海域(豊予海峡)で獲れるアジやサバは、「関(せき)アジ・関(せき)サバ:(大分側の佐賀関港で水揚げされたもの)」、「岬(はな)アジ・岬(はな)サバ:(愛媛側の佐田岬で水揚げされたもの)」と呼ばれ、高級魚としても知られている。

ちなみに、アジの旬は春から夏(4月~9月)の頃と言われています。


 血液をさらさらにし、血中のコレステロール値を下げるといわれるエイコサペンタエン酸(EPA)や脳を活性化するといわれるドコサヘキサエン酸(DHA)、その他、たんぱく質、鉄分、ビタミンB1・B2、等々、豊富な栄養素が含まれている。

 サバのみそ煮、しめ鯖、竜田揚げ、みりん干し、,塩さばなどの干物の焼物、煮物料理が一般的ですが、魚の生臭さが気になる方や、青魚の苦手な人もいて「じんましん」などの症状がでることもあります。

 日本人の「魚離れ」が言われるようになって久しいですが、近年の日本食ブームで魚が健康によいとされ、刺身などを食べる外国人も多くなった反面、日本の家庭では、魚を調理することが苦手な人も増えてきたのが「魚離れ」の要因の一つとも言われているが、サバの缶詰などは安価で、スーパーなどの特売日に少し買い溜めておくと、常備食材として便利です。





● 秋味(アキアジ)・鮭(サケ)

 秋、産卵のために河川に帰ってくるサケのことを、東北や北海道では「秋味(アキアジ)」と呼びます。秋サケのことです。
サケは主に春と秋に捕られますが、春に捕れるサケのことは「時知らず」といいます。方言や俗語を集めた江戸期の辞書「俚言集覧(りげんしゅうらん)」で、すでに「秋味、鮭(サケ)を云(い)う」とあります。

 元々はアイヌ語で「秋の魚」という意味の「アキアチップ」にルーツをもち、これに「秋味」の字があてられたようです。アイヌ人のたんぱく源は主に鹿肉で、秋に捕れるおいしいサケは季節を感じるうれしい味だったに違いありません。
サケは、和人(日本人)との貴重な交易品でもありました。

 サケの卵で卵巣に入った状態のものが「筋子」(すじこ)。これを一粒づつばらしたものが「イクラ」ですが、温かいご飯にのせるその真っ赤なイクラもまた秋ならではの味です。
四季それぞれの食材の味を楽しむことが出来る喜び、これは日本人ならではかもしれません。