2013年6月30日日曜日

夏越の「茅の輪」

三之宮・比々多神社の「夏越の祓」
夏越(名越)の祓えは、陰暦六月三十日(晦日)に行われた神事。 古くは、六月と十二月の晦日に「大祓(おおはらえ)」が行われ、六月の大祓を「夏越(なごし)の祓」、十二月の大祓を「年越(としこし)の祓」と言った。
 陽暦(現行暦)となってからは、月遅れの七月晦日に行われることも多く、またその他の休日などを選んで行なっている神社も少なくない。

 一年の半分、暑い夏を迎えるこの時期に半年間の災いや穢れを祓い、心身ともに健やかに暑い夏を乗り切り、年越までの後半の半年を無事に過せますようにと願いを込めて神に祈る。
 白紙(女性は赤色とする神社もある)で作った人形(ひとがた)に息を吹きかけることにより、身代わり(分身ともいえる)となった人形に全ての穢れを乗り移らせて川に流し去り、或いは神前で燃やし、けむりとなって天空の彼方へと消し去る。 

 また、茅(かや)や藁(わら)には、お正月の注連縄飾りなどにも見られるように、古来より神々がやどると信じられ、これらで作られた茅の輪をくぐると言うことは、いままでの厄・穢れを持った体から、茅の輪をくぐった瞬間に全ての厄・穢れが消え去り、新たな(リフレッシュした)体を取り戻したいと言う願いが災厄を祓う。

 日本人にとって何かをくぐるという行為は、ただそこを通過するというだけではなく、時として特別な意味を持つことがある。 「山門をくぐる」、「鳥居をくぐる」、「校門をくぐる」、「胎内くぐり」等など、普段の生活の空間から、そこをくぐった瞬間に異次元の空間へと気持ちを切り替えるためのスイッチを入れる行為とも言える。

 厄・穢れを祓うとは、季節の移ろいの中で、病気とか災難などといったものは予知できないもの、それを逃れるためには神と言う漠然とした存在を感じ、自らの運命をそれに託すといった古代より日本人が育んで来た宗教観であり、精神文化のひとつとも言える。

 医学・医療の発達していなかった時代、日々の暮らしの中で降りかかった病気や災難による精神的、肉体的苦痛や、漠然とした不安感などを祓い、苦痛を和らげたい、すこしでも安心感を得たい、いろいろな思いがこの年中行事には込められていたのだと感じる。 

 ただ近年は、他の年越の行事も重なり、十二月の「年越の祓」を行わないところもあるようだ。


















 今年も半年間の厄払いに、三之宮・比々多神社に行ってみた。 今年は日曜日とあって少しは賑わっているかと思ったが、何時ものように閑散としていた。




 「 人形(ひとがた)に  穢れ託して  夏祓い 」                (裟来)