2013年5月9日木曜日

春が旬の野菜/くだもの


● 春キャベツ

 キャベツはアブラナ科アブラナ属の多年草で、ブロッコリーやカリフラワーなどと同じ仲間。
 江戸時代に中国からもたらされたとも言われているが、食用として栽培されるようになったのは明治時代になってからと言われている。
 キャベツと言えば、洋食の食材としてのイメージがあるように、当時はまだ一般的ではなかったようで、戦後になり日本人の食生活が洋食文化を取り入れるようになったことで一気に普及したとも言われている。

 昔は、甘藍(カンラン)ともいい、カリフラワーを花甘藍(ハナカンラン)とも言っていた。
一般的には結球(葉が球形に重なる)するタイプを指していますが、様々な品種改良がなされ、今では食感、外見などが違う沢山の品種があり、季節によっても栽培される品種が変わる。

 国内のキャベツの主な産地は、年間の生産量が最も多いい群馬県、次いで愛知県、そして千葉県や茨城県、神奈川、長野と続きます。ただ、キャベツは季節によって産地が変わり、夏から秋にかけては群馬県や長野県などの高原や北海道など冷涼な土地で栽培されたものが多く出回ります。

(旬の時期)

 キャベツの旬は、本来は地中海沿岸の冬の産物ですが、日本では春に収穫される品種に始まり、夏の高原で収穫されるもの、露地栽培で収穫されるものなどがあり、それぞれに特徴があるので、旬は品種ごとに違うと言うことになりますが、現在では、

・ 冬(11月頃~2月頃まで)に収穫される「寒玉キャベツ(冬キャベツ)」、
・ 春に収穫される「春玉(春キャベツ)」、
・ 夏に高冷地で収穫される「高原キャベツ(夏キャベツ)」

と、ほぼ一年中出回っている。

(栄養価と効能)

 キャベツには、食物繊維やビタミンC、K、U(キャベジン)などが豊富に含まれ、ビタミンCは風邪の予防や疲労の回復、肌荒れなどに効果があり、ビタミンKは血液の凝固促進や骨の形成に重要な働きをします。 中でもレッドキャベツには1.5倍以上含まれているといわれる。
 また、ビタミンUはキャベジン(医薬品の商品名にもありますが)とも呼ばれ、胃や十二指腸などに対する抗潰瘍作用があり、潰瘍の予防や治療に非常に高い効果があるとも言われている。
 さらに、大根にも含まれている「ジアスターゼ」もキャベツの方が多いそうで、「ジアスターゼ」のでんぷん分解酵素が、消化を助け、胃酸過多、胃もたれや、胸やけなどを緩和する効果が期待できるそうです。



● 青梗菜(チンゲンサイ)

 青梗菜(チンゲンサイ)は、アブラナ科アブラナ属で、白菜などと同じ仲間、不結球(球状にならない)タイプです。
 中国から伝わった野菜で、和名では「たいさい(体菜)」とも呼ばれ、葉柄部分は加熱してもシャキシャキした良い歯ざわりが残る野菜で、中華料理には欠かせない食材です。

 チンゲンサイ(青梗菜)は、栽培適応力が強い野菜で、国内では、北は北海道から南は九州まで全国各地で栽培出荷されています。
 その中でも最も出荷量が多いのはダントツで茨木県、次いで静岡県となっています。

(旬の時期)

 チンゲンサイは、通年各地から出荷されており、あまり旬を感じない野菜ではありますが、路地物が多く作られ、出荷される時期としては、春と秋が最も多く出回る時期で、中でも、気温が下がるぎりぎりの晩秋あたりが最も味が良くなるという。

(栄養価と効能)

 チンゲンサイには、「βカロテン」や「カリウム」、「カルシウム」、「ビタミンC」などが豊富に含まれていて、「βカロテン」は、抗発ガン作用や免疫賦活作用で知られていますが、その他にも体内でビタミンAに変換され、髪の健康維持や、視力維持、粘膜や皮膚の健康維持、そして、喉や肺など呼吸器系統を守る働きがあるといわれています。

 また、「カリウム」はナトリウム(塩分)を排泄する役割があり、高血圧に効果があります。 また、長時間の運動による筋肉の痙攣などを防ぐ働きもあります。
 また、「カルシウム」は骨を生成する上で欠かせない成分です。 骨を丈夫にし、健康を維持します。また、イライラの解消にも効果があります。
 「ビタミンC」は、免疫力を高め、風邪の予防や疲労の回復、肌荒れなどに効果があると言われています。



● 新たまねぎ

 タマネギ(玉葱/たまねぎ)は、ネギ科ネギ属で、中央アジアが原産とされていますが、日本で栽培されるようになったのは意外に遅く、明治時代に入ってからだそうです。
 一般にタマネギと呼んでいる部分は根ではなく、葉の根元が養分を蓄えて丸く太った物で鱗茎(りんけい)と言われるもので、ニンニクやラッキョウも同じ鱗茎部分を食べる野菜です。

 玉ねぎは大きく分けると、辛たまねぎと甘たまねぎに分けることができます。一般によく出回っていて、切ると涙が出てくるものが辛たまねぎです。
 品種は色々あり、いま、国内で流通しているものは黄たまねぎ類、白たまねぎ類、紫たまねぎ(赤たまねぎ)類、小たまねぎ類、それにヨーロッパ産のエシャロットなどがあります。

 一般的な玉ねぎは、収穫後干され、表皮を乾燥させ保存性を高めて出荷されます。 これに使われるのは主に黄タマネギの品種です。
一方、新タマネギと呼ばれるものは、主に白タマネギの品種で、この品種は水分が多く、乾燥処理に向いていないので、収穫後すぐに出荷されます。また、黄タマネギを乾燥処理せずに収穫後すぐに出荷されたものも新タマネギと呼ばれたりします。

 玉ねぎの主な産地は北海道で、全国の半分以上を生産しています。 次いで佐賀県、兵庫県、愛知県と続き、この上位4つの地域で全国の80%を賄っている事になります。

(旬の時期)

 日本で栽培されるタマネギには春と秋の二つの旬がありますが、現在店頭に並んでいる新タマネギは佐賀県や淡路島など西日本の産地で秋に種をまいたものです。
 一方、国内生産量の約半分を占める北海道産は春まきであり、秋ごろに新タマネギとして出荷されています。

(栄養価と効能)

 ビタミンやミネラルといった栄養成分で見る限りでは、取り立てて多く含まれているものはありませんが、糖質となる炭水化物を比較的多く含んでいます。
 さらに、辛みと香り、涙を出させる成分・硫化アリルは、高血圧や糖尿病などに高い効果があるとされ、ガン・糖尿病・動脈硬化・高脂血症などの生活習慣病に悩む現代人に最適の野菜と言われていますが、この時期にサラダや酢の物にして生で食べる「新タマネギ」はまた格別の味わいがあります。


● アスパラガス

 アスパラガスは、ユリ科アスパラガス属の多年草で、地中海東部が原産とされるユリ科の植物で、地上に伸びてくる新芽の茎を食用とする。
 種を植えてから2年から3年たたないと収穫できるまでにならないのですが、その後10年間くらいは同じ株で次々と芽が出てくるそうです。
 国内の主な産地は、北海道がダントツトップで次いで長野県、佐賀県と続きます。

(旬の時期)

 アスパラガスは、春先から芽が出始め、秋まで収穫できます。
 また、施設栽培などの方法で、冬でも栽培ができることや、輸入ものもあわせて通年店頭にも並んでいることもあり、あまり旬を意識しない食材ではありますが、やはりアスパラガスの旬は、春から初夏にかけての旬に取れたての物であることは言うまでもありません。
 柔らかさや香りはこの時期が1番で、サラダや炒め物に人気があります。

 なお、スーパーなどで見かける「アスパラガス」は、ほとんどが「グリーン・アスパラガス」で、「ホワイト・アスパラガス」もたまに見かけますが、やわらかくて傷みやすいために缶詰に加工したものが中心です。
 品種は同じで、芽が土の表面に出る前に土盛りして地中で育てたのが、ホワイト・アスパラ、日光をたっぷり浴びたのがグリーン・アスパラです。

(栄養価と効能)

 「疲れた時には、アスパラガスを食べるといい」と言われるように、アスバラガスには、ビタミン群やアミノ酸の1種であるアスパラギン酸などが豊富に含まれていて非常に栄養価が高く、そのアスパラギン酸は新陳代謝を促すとともに、タンパク質合成を高める効果があり、疲労回復や滋養強壮に優れています。

   また、カロチン、ビタミンC、ビタミンEを同時に摂取することができ、抗腫瘍作用もあり、赤血球をつくるために必要な葉酸を含んでいるため貧血にも効果があるそうです。




● タケノコ


 タケノコ(竹の子、筍)は、イネ科タケ亜科タケの若芽を指し、春先、地面から芽の出かけているものをタケノコとして食用にする。 タケノコと言えば、「モウソウチク」が一般的だが、 「マダケ」や「ネマガリタケ」のなどもスーパーで売られていることがある。


 漢字では「筍」。よく「朝掘りタケノコ」と言われますが、その新鮮なタケノコはまた格別です。焼いて食べるのも良し、サッと茹であげて食べやすい大きさにスライスしてワサビ醤油で食べるのも良しです。

(旬の時期)

 そのタケノコ、3月中旬頃から九州産が出回り始め、今の時期は静岡産が主力となっています。そして、4月中旬以降は千葉、茨城、栃木など産地が徐々に北上していきます。
 また、水煮として缶詰やレトルトパック、加工品のメンマなどとして流通しているタケノコの多くが中国からの輸入品となっている。


(栄養価と効能)

 栄養成分としては、豊富なたんぱく質の他、ビタミンB1、B2、ミネラルを含み、食物繊維が豊富で便秘や大腸がんなどの予防やコレステロールの吸収の抑制にも効果的だと言われています。

 ちなみに、竹の成長はとても早く、タケノコとして美味しく食べられる時期は非常に短いため、漢字の「筍」は10日間を意味する「旬」に由来するそうです。