2013年10月18日金曜日

コーヒー・緑茶の健康効果について


(2013/10/17)

● コーヒーについて続報!(コーヒーを飲むと寿命が縮む?)


 コーヒーをよく飲む人は、病気にかかりにくいと言われてきたのに、最近は寿命が縮まるとの報告も目にする。果たして健康にいいのか、悪いのか。と寿命が縮む?

 今年8月、米サウスカロライナ大などの研究チームが、約4万人を対象に17年ほど追跡した疫学調査の結果、「55歳未満でコーヒーを毎日4杯以上飲む人は、飲まない人と比べて死亡率が男性で1・5倍、女性では2・1倍に上る」などの研究報告を米医学誌に発表した。

 この研究報告の内容に関して、「コーヒーと健康」の関係全般に詳しい医療専門家(国立国際医療研究センター)によると、「これまでの数ある疫学調査を統合して解析すると『コーヒーを飲む人の方が寿命が長い』との結果が出ています。逆の結論の論文が一つ出たからといって、従来の見解を変えるほどのインパクトはないでしょう」との見解を示した。

 
《 コーヒーと病気予防の関係はどこまでわかってきたのか。 》


・ 2型糖尿病(運動不足などの生活習慣が原因の糖尿病)との関係

 運動不足などの生活習慣が原因の2型糖尿病については2002年、オランダの研究グループが「1日7杯以上コーヒーを飲む人は、発症するリスクが2杯以下の人のほぼ半分になる」との調査結果を発表した。

 同じころ、東京都葛飾区での住民調査で「コーヒーを飲んでいる人は血糖値が低い」ということに気づき、糖尿病と診断されていない人のうちコーヒーを週1回以上飲む人は、飲まない人に比べて空腹時血糖値の高い人の割合が小さい、つまり「正常型」の人が多いと報告した。

 その他、これまでに20を超す論文が発表され、「コーヒーを多く飲む人は糖尿病の発症が少ない」はいわば“定説”となっている。


・ がんとの関係

  いくつかのがんでも同様の傾向がみられ、なかでも顕著なのは「肝臓がん」であるという。
厚生労働省研究班の大規模疫学調査によると「コーヒーをほぼ毎日飲む人は、ほとんど飲まない人に比べて肝がんの発症リスクは半分」という結果が明らかに。
 さらに飲む量が増えるほどリスクが低下する傾向もみられたという。

 なぜコーヒーを飲むと発病が抑制されるのかは、統計調査では相関関係が明らかになるものの、現在のところそのメカニズムまではわかっていない。
 ただ、他の研究も含め、最近注目されているコーヒーの成分が、「カフェイン」とポリフェノールの一種である「クロロゲン酸」である。

 カフェインは、熱を生み出すのを促す作用があり、エネルギーを熱のかたちで放出することで体内にたまった脂肪の燃焼を促進させるとみられる。
 しかし、カフェイン抜きのコーヒーを飲んでいる場合でも糖尿病の発症率は低いとする米国の研究報告もあり、カフェイン以外の成分として浮上したのがクロロゲン酸である。
 抗酸化作用があり、肝臓での糖の生成を抑える効果や、血糖値を下げる働きがあるホルモン「GLP−1(グルカゴン様ペプチド−1)」の分泌を促すとされ、これらの総合的な作用で糖尿病の発症を抑えていると考えられている。 ただし既に糖尿病を発症している人への効果はわかっていない。

 クロロゲン酸の働きに着目し、「脂肪を消費しやすくする」とうたう特定保健用食品(トクホ)の缶コーヒーも市販されている。


・ メタボリック症候群の予防効果との関係

 東京慈恵会医大客員教授で運動生理学が専門の鈴木政登氏の研究によると、8人の男性被験者にコーヒーを1杯飲んだ後、1時間椅子に座って安静にし、その後に30分間ランニングをしてエネルギー消費量の変化を調べたところ、「コーヒーを飲んで運動すると、白湯(さゆ)だけを飲んだ場合と比べてエネルギー消費量が増え、脂肪の燃焼が促進されることがわかったと言う。
 
 飲んですぐ運動を始めるのではなく、カフェインが体内に吸収される時間を考え、1時間程度たってから運動を始めるのがポイントだという。

 ラットにカフェインを与えた実験でも脂肪や体重が減ったという実験結果もあり、コーヒーと運動を上手に結びつけることで、メタボリック症候群の予防にも効果が期待されている。

 ただし、重い心臓病の人、妊娠・授乳中の女性、腎臓の悪い人は控えた方がいいと指摘する専門家もいる。 また、「膀胱がん」についてはコーヒーを飲んでいる人の方が発症率が高いとの報告もある。 カフェインが尿に出てぼうこうにたまることが発症に関与しているとみられ、血縁者に「膀胱がん」の人がいる場合は特に要注意である。

 全日本コーヒー協会の2012年度の調査によると、日本人はコーヒーを週に平均10・73杯飲むと言われていて、1日にすると約1・5杯となる。
 では、健康に効果があるとされる適量とはどれくらいなのかは現在のところ明確な基準は無いようで、研究者によって多少異なるところもあるが、飲み過ぎても逆に夜眠れなくなるなどの弊害もあり、1日3杯程度までを目安とし、健康効果への過度な期待もほどほどにして、嗜好品として楽しむ程度が良いのではないだろうか。

 健康の基本はバランスのとれた食生活。コーヒーもその一つに位置付けることで、予防効果が期待できるということのようだ。



(2013/03/15)

● コーヒー・緑茶の健康効果について


 本日(3月15日)、国立がん研究センターと国立循環器病研究センターなどによる研究で、日頃緑茶やコーヒーをよく飲む人は、飲まない人に比べて脳卒中や脳梗塞のリスクが、1割~2割ほど軽減されるという研究結果を発表した。

 具体的には、全国の45歳~74歳の男女、約8万2千人に対し、緑茶やコーヒーを「全く飲まない」、「週1~2回飲む」、「週3~6回飲む」、「毎日1杯飲む」、「毎日2~3杯飲む」、「毎日4杯以上飲む」の6段階に分けて平均13年間追跡調査した。

 結果、「緑茶コーヒーを全く飲まない人」に比べ、緑茶では「毎日2杯~3杯飲む人」は脳卒中を発症するリスクが1~1.5割ほど軽減され、「毎日4杯以上飲む人」では2割ほど軽減される。
また、脳出血では「毎日1杯飲む」、で発症のリスクが減り始め、「毎日4杯以上」では3.5割ほど軽減されたとしている。

 一方、コーヒーでは「週3~6回飲む」で、脳卒中のリスクが1~2割軽減され、「週1~2回飲む」では、特に脳梗塞のリスクが1.5~2割ほど軽減されたとしている。

 これらの結果から、緑茶やコーヒーに含まれる血管を保護する物質や血糖値を抑える物質が、脳卒中のリスクの低下に関係しているのではないかとしている。
 ただ、身体に良いからといってたくさん飲めば良いと言うものでもなく、ある程度脳卒中などの予防には効果があるのではないかというものであった。

 ただし、コーヒーに多く含まれる「カフェイン」に関しては、胃酸の分泌を高めたり、中枢神経を刺激し、興奮や不眠、めまい、心拍数の増加、不安感を高めたり、インスリンの効きを弱めたりすることが知られているため、特に胃酸過多の人、食事前の空腹時や、妊婦さん、就寝前などはやや控えめにした方が良いようです。

 いすれにしても、薬ではないので緑茶やコーヒーを多量に飲んだからといって、病気や症状が治るというものではなく、少量でも毎日の習慣にしていると予防的効果が少しはあるといった程度にとどめておく方がいいだろう。
 
 コーヒーなら、1~2日に(食後)1~3杯程度、緑茶なら1日に2~4杯程度が適量と言えるかも。