2012年10月24日水曜日

蕎麦の花咲くころ

実蒔原のそば畑 2012.10.24
今年も新蕎麦の季節となりましたが、通常、年2回収穫することができる蕎麦(そば)は、春蒔きの夏蕎麦と、夏蒔きの秋蕎麦に区別され、今はちょうど秋蕎麦の収穫時期です。
 全国各地にある名物蕎麦どころでは、街道沿いに新蕎麦の幟が立ち、香り高い新蕎麦を味わうのが蕎麦好きの人にとっては、この時期の楽しみの一つとなっている。

 一般的に、夏蕎麦よりも秋蕎麦の方が好まれる傾向がある。 ただし南北に長い日本列島では、各地で栽培される蕎麦の収穫時期が地方によって異なり、従って「新蕎麦」として出回る時期も微妙に違ってくる。

 大山山麓でも、すでに実をつけ収穫を待つ畑もあれば、やや遅れて花盛りの畑もあり、標高差による僅かな寒暖差で時期が1~2週間ずれることもあるようだ。

 地方によっては、夏に収穫したものは「夏蕎麦」といい、秋に収穫した秋蕎麦をあえて「新蕎麦」と呼び区別していることもある。

 自家製の畑で収穫したものを粉に挽いてつくるお店や、水や蕎麦の打ち方にこだわるお店などいろいろなこだわりのお店を訪ねあるいて楽しむのも蕎麦の楽しみのひとつでもあろう。

 また、製粉技術の進歩により、現在では蕎麦殻や甘皮が混じらない蕎麦粉が挽け、白い蕎麦粉が作れるようになったため、蕎麦粉百パーセントでも白い蕎麦を打つことができるようである。
 一般的には、「更科蕎麦」や「御膳蕎麦」は色の白いものを、「藪蕎麦」や「田舎蕎麦」などは、蕎麦殻や甘皮を適度に混ぜ、蕎麦の風味を生かしたやや黒っぽい粉を使用して打つことが多いい。

 青森県の津軽そば、岩手県盛岡のわんこそば、福島県の会津なめこそば、信州(長野県)の戸隠そば、東京の深大寺そば、福井県の越前おろしそば、京都のニシンそば、山口県の漢陽寺そば、兵庫県の石出(いづし)皿そば、島根県の出雲割子(わりご)そば、徳島県の祖谷(いや)そば等々、この他にも全国にはたくさんの名物そばがある。

 国内の主な生産地としては、北海道、福島、山形、長野、茨城などの東日本に多く、関西を中心とした西日本では、どちらかといえばそばよりも、うどんが好まれるという食文化が影響しているのかもしれない。
 また、米や麦と異なり、痩せた土壌や標高の高い寒冷地、少雨の乾燥地などにも強く、種をまいてから2ヶ月半(約75日)くらいで収穫できることなど、他の農作物に比べ耕作条件の悪いところでも収穫できることなどが関係しているのかもしれない。

 日本では、古くは縄文時代から食されていたともいわれ、九州の宮崎県椎葉村では伝統の焼畑農法でそばを栽培している方をNHKの番組で紹介していたことがある。
 そばは、蕎麦粉だけでなく、「そば焼酎」の原材料や「そば殻の枕」の材料に利用したり、花から採れる蜂蜜は鉄分が多くて独特の香りがして美味しい。最近では実から発芽した幼茎や葉が「かいわれ大根」のようにスプラウト食材としてサラダなどにも使われるようになった。

 近年、食の健康志向や地域おこし活動として休耕田などを利用しての栽培が増えてきたようではあるが、国内で消費される蕎麦粉の8割以上が輸入されたもので、国内産百パーセントの新蕎麦を食する機会は少ないといえよう。  

 主な輸入先は中国、アメリカ、カナダなどであるが、そのほとんど(約8割以上)が中国からのものと言われている。

 中国産については、過去にも中国産を国内産と偽り販売されていたり、カビ毒のアフラトキシンや基準値をこえる残留農薬、殺虫剤成分が検出されるなどの問題も多いい。

 蕎麦に含まれるルチンやコリンなどの成分が血圧上昇や、肝臓の機能強化に効果があるといわれ、またビタミンEや食物繊維が豊富に含まれていることから、抗酸化作用や便秘解消、コレステロールの増加抑制、食後の血糖値上昇の抑制に効果があるなど、ヘルシーな健康食品としても注目されている。 ただし、食物アレルギーを引き起こす場合があるので注意が必要である。



(参考サイト)

● NHKスペシャル「クニ子おばばと不思議の森」