2012年4月23日月曜日

一雨ごとの暖かさ

 今朝は、霧雨の中の散歩みちとなった玉川の土手を歩くと、土手一面に咲いている菜の花も、雨のしずくが少し重そうにうな垂れている。

大山の頂も、どんよりとした雲のむこうに隠れて見えない。

 菜の花を濡らす雨は、桜の花を散らす「花散らしの雨」でもあり、二十四節気で言うところの「穀雨(こくう)」の季節でもある。百穀(あらゆる穀物)をうるおし、発芽をうながす春雨(はるさめ)であり、田畑の準備が整い、それに合わせて降るめぐみの雨でもある。

冬木立の里山の風景が、一雨ごとに新緑色の山肌へと変わっていく芽吹きの季節である。






















菜の花の咲く頃に降る長雨を「菜種梅雨(なたねづゆ)」とも言う。

 本来は、三月末から四月にかけて吹く、雨を含んだ〝南東の風〝のことを、「催花雨(さいかう)」といったらしい。
早く花を咲かせようとせき立てる雨という意味で呼ばれたものらしいが、菜の花が咲く頃でもあることから、同じ読みで「菜花雨(さいかう)」とも呼ばれるようになり、これが転じて菜種梅雨となったのだとも言われていて、江戸時代の風流人たちが好んで使ったようである。

「梅雨(つゆ)」という、じめじめとした少し暗い印象の言葉も、菜の花と結びつくと、雨の向こうに明るい花の色が透けて見えるようで、また違った気持ちに感じられる。




「四季の雨」 (文部省唱歌)

   降るとも見えじ、春の雨

   水に輪をかく波なくば

   けぶるとばかり思わせて

   降るとも見えじ、春の雨